2014年7月30日水曜日

【研究紹介】③-理学研究科数学専攻 黒木 玄 助教

 理学部数学科、というとみなさんはどんなイメージを持つだろうか。大学で専攻する数学とはどのようなものか、理学研究科数学専攻の黒木玄助教に話を伺った。



―専攻されている分野について教えてください
私の専攻は一言でいうと「数理物理学と表現論」です。理論物理にも登場するような数学を、表現論を用いて研究しています。たとえば実三次元空間の回転は実数を成分に持つ三次正方行列で表現できるだけではなく、複素数を成分に持つ二次正方行列を用いても表現できる。表現論の「表現」とは大体こういう意味です。数学的対象の裏に隠れている対称性を表現論的にうまく定式化して見出すことで研究対象のシンプルで美しい理解を目指しています。非常に魅力的な分野です。

―数学の魅力とは
数学を専攻して学ぶということは地の底へ深くもぐるようなものだと思います。高校までは教える側が注意して、生徒が数学の谷底に落ちてしまわないように、通る道を制限してくれます。しかし大学では谷底に転がり落ちてしまうことも歓迎するようになります。ほんの少し道を踏み外すだけで簡単に転がり落ちることができます。転がり落ちないと楽しい冒険は始まりません。転がり落ちた先には美しい数学的世界が広がっています。

―東北大学の数学科の特徴は
数学の本質的に難しい部分を避けずに本物の数学についてきちんと教える体制が整っているところだと思います。研究できる数学の分野も多彩で広く、ほぼ全分野の数学について研究できます。さらに東北大学全体で研究が盛んであり、入学して来る学生の意識も高いです。勉強する仲間を見つけ、学問を究めたいならば、最高の場だと思います。

―高校生へ一言お願いします
オープンキャンパスでは、実際の研究と同じことが体験できます。ぜひ数学科をのぞいてみてください。道から脇へそれて、谷へ落ちてきてくれる冒険者を待っています。

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